入谷と聞くと、「恐れ入谷の鬼子母神」という言葉が口をつく。「恐れ入りました」を洒落ていう表現だ。この類の洒落は、誰が言い出したのか不明な場合も多いが、「恐れ入谷の……」に関しては作者が分かっている。江戸時代の文人、大田南畝(おおたなんぽ)だ。落語好きな方には、蜀山人(しょくさんじん)の号のほうがぴんと来るかもしれない。
彼の出世のきっかけは、19歳のときに平賀源内に認められたことだ。以来、文学界で幅広く活躍したが、中でも有名なのが狂歌だ。狂歌とは、身近な内容を面白おかしく詠んだ短歌で、有名な和歌のパロディや社会情勢を皮肉った歌などが多い。パロディ元となった和歌としては、次のようなものがある。
命やは何ぞは露のあだものを逢ふにし換へばをしからなくに
思ふには忍ぶることぞ負けにける逢ふにしかへばさもあらばあれ
それぞれ古今和歌集と伊勢物語に載っているもので、「あなたに会うことと引き換えにするなら命も惜しくないのに」、「あなたと会うことさえできればどうなってもいい」という歌だ。この熱烈な恋の歌も、大田南畝にかかればこうなってしまう。
わが命あふにはよしやかへずとも河豚(ふぐ)にしかへばさもあらばあれ
「恋人に会うことと命は引き換えにできなくても、河豚と引き換えならどうなってもいい」。馬鹿馬鹿しいが、日常的な事柄を詠んでいる分、高尚な和歌よりも共感しやすい気がする。
入谷鬼子母神の名で知られる真源寺。毎年7月には朝顔市が開催され、多くの人で賑わう。
エントランスをくぐると、コンクリートと木材が絶妙に組み合わされた空間が広がる。
やや脱線してしまったが、「恐れ入谷の鬼子母神」に話を戻そう。この言葉の通り、入谷には鬼子母神を祀る寺院があった。1659年創建の真源寺だ。地名の変更により、住所は「下谷」に変わってしまっているが、寺は今でも健在である。この真源寺から約490mの距離に、今回紹介するザ・パークハビオ根岸三丁目は建っている。
立地にこだわる「ザ・パークハビオ」シリーズらしく、マンションの徒歩7分圏内には入谷駅と鶯谷駅の2駅がある。鶯谷の隣駅である上野をはじめ、数々のターミナル駅にスムーズにアクセス可能だ。さらに、羽田空港国際ターミナル駅へも30分ほどで行くことができ、飛行機も利用しやすい。
敷地と1階部分の平面図。宅配ボックスやゴミ置場をはじめ、便利な共用設備がそろっている。
マンションのデザインも、立地との関わりを感じさせるものとなっている。エントランスは都会的で洗練された印象だが、中に足を踏み入れると、天井と壁面に用いられた木材がどことなく和の趣を漂わせる。ザ・パークハビオ根岸三丁目のキャッチコピー、「アーバンライフと下町情緒を享受する根岸暮らしが始まる」が具現化されたような空間だ。
設備面でも、都会の暮らしを快適にする気配りが行き届いている。駐車場、駐輪場、バイク置場を敷地内に完備。宅配ボックスや屋内のゴミ置場は、多忙な日々の中で重宝する。さらに、オートロックや防犯カメラはもちろん、2階の窓に防犯センサーを取り付けるなど、セキュリティ設備も整っている。
マンション内の各所に防犯カメラが設置され、住民の安全を見守っている。
取材を終えて、私は再び大田南畝に思いを馳せた。もしも彼がザ・パークハビオ根岸三丁目について詠んだなら、どんな歌になるのだろう。立地にデザイン、設備と、これほど多彩な魅力を持つのだ。もしかしたら狂歌ではなく、芸術的で高尚な歌ができてしまうかもしれない。まったくこのマンションには、恐れ入谷の鬼子母神――と、ひとり口ずさんだ私だった。
物件名称 | ザ・パークハビオ根岸三丁目 MAP | 所在地 | 東京都台東区根岸3丁目13-7 |
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賃料 | 164,000 円 | 交通 | 東京メトロ日比谷線「入谷」駅徒歩5分 |
間取 | 1LDK,1K,1R | 専有面積 | 40.74㎡ |
構造/階建て | 鉄筋コンクリート造/地上8階 | 築年月 | 2017/07 |
総戸数 | 45戸 | 管理人 | 日勤 |
駐輪場・バイク置き場 | 設備 | 、 | |
特徴 | 備考 | ||
特記事項 | 次回更新日 |
駐車場は敷地内に設けられている。駐輪場とバイク置場はいずれも屋内にあり、愛車を風雨から守ることができる。忙しい毎日には、不在でも荷物を受け取れる宅配ボックスが嬉しい。また、オートロックや防犯カメラを設置するなど、セキュリティ面についても対策がなされている。
マンションの外観は、タイルの外壁やガラスが都会的な雰囲気だ。エントランスも同様に、コンクリート打ち放しの壁や幾何学模様が入ったガラスがシャープな印象。一方建物内には、コンクリートやタイルなどの硬質な素材と木材が組み合わされた、モダンな空間が広がる。
徒歩5分の距離に東京メトロ日比谷線の入谷駅が、徒歩7分の距離にはJR山手線・京浜東北線の鶯谷駅がある。上野や秋葉原、池袋といった主要な駅に乗り換えなしで行くことが可能だ。スムーズなアクセスで、日々の通勤から休日の外出まで存分に楽しむことができる。
周辺には博物館や美術館が多く立地する。写真は東京国立博物館(約690m/徒歩9分)。1872年に設立された、日本で最も長い歴史を持つ博物館で、日本をはじめとする東洋の美術品や考古遺物を所蔵している。日本美術を展示する本館(日本ギャラリー)、法隆寺献納宝物を展示する法隆寺宝物館など、6つの展示館から成る。
台東根岸三郵便局(約190m/徒歩3分)。ATMは土曜日も利用可能。
竹隆庵岡埜 本店(約180m/徒歩3分)。1958年創業の和菓子店。看板商品の「こごめ大福」は、江戸時代の庶民に愛された「こごめ餅」を起源とする。
吟道会館(約270m/徒歩4分)。吟道普及のための発信拠点として、吟詠の大会などが開催される。
上野恩賜公園(約690m/徒歩9分)。1873年、日本最初の公園のひとつとして開設された。桜や蓮の名所として知られ、四季折々の自然を楽しむことができる。
ココスナカムラ入谷店(約710m/徒歩9分)。入谷駅のそばに立地するスーパーマーケット。24時まで営業しているため、帰りが遅くなっても買い物ができてありがたい。
記事作成 2018/2/8 高橋千尋