柱梁(ちゅうりょう)、という言葉がある。柱梁は、文字通り柱と梁のことを指すこともあるが、「物事のささえとして頼りになるもの。また、頼りになる人」という意味も持っている。このような意味を持つほど、建物にとって柱と梁は重要な存在だ。しかし、その柱と梁を減らした高層マンションがあるという。それが、鹿島建設が施工した「東京タイムズタワー」だ。
東京タイムズタワーが建てられたのは、サブカルチャーと電気の町「秋葉原」。駅周辺は、神田青果市場跡地を再開発した秋葉原地区開発計画によって高層ビル群が軒を連ねている。駅前から高層ビル同士をつなぐ連絡通路を渡ると、周りのビル群に負けず劣らずの印象を放つマンションが見えてきた。
地下1階、地上40階建の堂々とした立たずまい。バルコニーを外壁の内側に収めることで、すっきりとした見た目になっている。
公開空地には生垣や樹木が植えられ、夏の光を浴びて青々と茂っていた。
エントランスにきらりと光る「TOKYO TIMES TOWER」の文字。東京タイムズタワーも、この地区開発計画に伴い、2004年に建てられたマンションだ。翌年、2005年には、「新技術・新素材をたくみに利用している」として、グッドデザイン賞を受賞している。その「新技術」の一つが、生活空間から柱と梁を減らす「スーパーRCフレーム構法」だ。
従来、中高層ビルに使われていたのは、柱と梁をしっかりと固定した枠組みを組み合わせてつくられる、「ラーメン構造(RC構造)」と呼ばれる構法である。強度計算がしやすく、大きな開口部を設けることができるため、広く使われてきた構法だ。しかし、がっしりとした構造により室内に柱や梁が張り出すというデメリットがある。柱や梁が張り出すと、その分だけ間取りが複雑になり、家具や間取りに制限がでてしまう。
そこで、鹿島建設が開発したのが柱や梁を減らす「スーパーRCフレーム構法」だ。スーパーRCフレーム構法を簡単に説明するならば、「巨大な柱と巨大な梁で建物全体を支える構法」だ。H字に組まれた壁状の大きな柱「スーパーウォール」がビルの中心で支え、井形に組まれた大きな梁「スーパービーム」がビル上部で全体を支えている。この巨大な柱と梁によって、各部屋の柱や梁が少なくなり、広々とした空間を作ることに成功している。
建物の内側を支える柱梁の構造。外側を支える「コネクティング柱」はスーパービームと制震装置でつながっている。
このマンションの魅力はこれだけではない。会合やパーティーを行えるスカイラウンジや、会議場や葬祭場として利用できるカンファレンスルーム、入居者が無料で利用できるフィットネスルーム、2泊まで宿泊できるゲストルームなど、共有施設も充実している。これらの申請を受け付けるコンシェルジュサービスも年末年始を除いて、毎日7時から22時まで入居者のサポートを行っている。宅配便申し込み取次サービス、クリーニング取次サービスを始めとして、介護サービスのお手伝いや、1日200円から自転車を貸し出すレンタサイクルのサービスまで取り扱っている。秋葉原から少し足を延ばせば、美術館や博物館、アメ横などでにぎわう上野がある。休日に自転車をレンタルしてフラッと出かけてみるのも楽しそうだ。東京タイムズタワーには快適な毎日を過ごすために十二分な設備とサービスがそろえられている。
熱反ガラスのカーテンウォールが張られた外観。スーパーRCフレーム構法により、窓が大きくとられている。
東京タイムズタワーを支える巨大な柱梁は、暮らしの中ではっきりと目に見えることはないが、建物の中心でどっしりと構え、入居者の生活と安心を支えてくれている。この巨大な「柱梁」は、柱と梁という意味だけではない、本当に頼れる存在として東京タイムズタワーの「柱梁」を担っている。
物件名称 | 東京タイムズタワーMAP | 所在地 | 東京都千代田区外神田4丁目14番2 |
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賃料 | --- 円 | 交通 | 山手線「秋葉原」駅徒歩5分 |
間取 | 1LDK,2LDK | 専有面積 | --- |
構造/階建て | 鉄筋コンクリート造/地上40階地下1階 | 築年月 | 2004/09 |
総戸数 | 319戸 | 管理人 | 常駐 |
駐輪場・バイク置き場 | 設備 | 、 | |
特徴 | 備考 | ||
特記事項 | 次回更新日 |
エントランスの開けた空間には、ころんとした形の椅子とテーブルが設置され、入居者や来訪者を温かい雰囲気で迎えてくれる。上層階には秋葉原の町を望むラウンジやゲストルームが設けられている。このほかにも、フィットネスルームや、コンシェルジュサービスなど、住む人にとっても、訪れた人にとっても快適な時間を提供してくれるサービスが用意されている。
東京タイムズタワーと同じく鹿島建設施工の秋葉原UDXと秋葉原ダイビルとの間には高架の連絡通路が駅前からつなげられている。地区開発計画によって町と一緒に作られたマンションだからこそ得られる利便性を、ぜひ満喫したい。
JR秋葉原駅 電気街口(約400m/徒歩5分)。山手線や総武線、つくばエクスプレスなど複数路線が乗り入れている。駅では、買い物客や国内外からの観光客、近隣のビルで働くビジネスマンなど、多種多様な人々が行きかう。中央改札口付近には交通広場と呼ばれるバスターミナルがあり、電車以外の交通機関の利用にも便利だ。
アトレ秋葉原1(約400m/徒歩5分)。JR秋葉原駅から直通で利用することができる。成城石井や肉の万世などの食料品や、書店、服飾店が出店している。(営業時間:AM10:00~PM9:00)
秋葉原UDX一階にある秋葉原UDX内郵便局(約240m/徒歩3分)。郵便窓口は平日AM9:00~PM5:00営業。
ドン・キホーテ秋葉原店(約140m/徒歩2分)。営業時間がAM9:00~AM5:00と深夜まで営業しているため、夜中に急に必要なものができても安心。
東京地下鉄銀座線 末広駅(約200m/徒歩3分)。東京タイムズタワーの最寄駅。
千代田区総面積の約30%の地域を管轄する神田消防署(約90m/徒歩2分)。
記事作成 2017/8/25 池田早紀