乃木坂と聞いて私の頭にまず思い浮かぶのは、夏目漱石の「こころ」だ。その結末付近で、乃木坂の地名の由来となった乃木希典大将の殉死に触れられているからだ。乃木坂はかつて幽霊坂と呼ばれていたが、乃木大将の葬儀とともに今の名称に改められたという。現在では、東京メトロ千代田線の駅にもその名を見ることができる。
今回訪れたテラス乃木坂は、その乃木坂駅から徒歩6分の距離にあるマンションだ。地上3階、地下1階のマンションだが、総戸数はわずかに5戸、しかもどの部屋も専有面積がかなり広いらしい。いったいどんな物件なのだろうと想像を膨らませながら、乃木坂駅からの道を歩いた。
港区立檜町公園の芝生エリア。遊具が設置され、子供たちが遊ぶ姿が見られる。
テラス乃木坂の駐車場は、濃い茶色の木の外壁が特徴的。
徒歩3分で東京ミッドタウンに行けるとは信じられないような、落ち着いた雰囲気の住宅街。そこに、清潔感のある白い外壁に植栽の緑が映えるテラス乃木坂が建っていた。
外壁と同じく白い門の扉をくぐると、やはり白を基調としたアプローチが広がる。三方を白い壁に囲まれたアプローチだが、それでも単調な印象を受けないのは、石畳調の足元と植栽のおかげだろう。バランスよく配置された植栽が品のいいアクセントとなり、めりはりのあるモダンな外観を作り出している。白と緑の取り合わせは美しいものだと改めて感じ、この日があいにくの曇天だったことを残念に思った。「こころ」で語り手の「私」と「先生」が親しくなった日のように、青空と降り注ぐ日差しがあったなら、建物の白がより一層引き立っただろう。そうした風景を日常的に見られるテラス乃木坂の住人を羨ましく思った。
ミッドタウン・ガーデンにある美術館、21_21 DESIGN SIGHT。建物の設計は安藤忠雄。
共用設備として触れておきたいのは、各住戸に1台ずつ割り当てられた駐車場だ。周辺には複数の高速道路が走っており、車があれば遠出もしやすい。木の外壁に覆われた駐車場のデザインも、周りの風景と調和していて好感が持てる。
動物好きにはペット相談可の条件も嬉しい。併せて、特に愛犬家に注目してほしいのが、近くに檜町公園とミッドタウン・ガーデンがある点だ。このふたつの公園は隣接しており、都心とは思えないほど広々とした緑地を形成している。これだけ公園が充実していれば、犬を散歩させる場所には困らないだろう。もちろん、これらの公園は犬を連れていなくても楽しめる。憩いの場となるだけでなく、ミッドタウン・ガーデンには美術館まであるのだ。
また、テラス乃木坂は新耐震基準に適合していることもポイントだ。これは、震度6強から7程度の大きな地震で倒壊・崩壊しないという基準である。日々の暮らしを豊かにするだけでなく、いざというときの安心感も備わっている。そう思って見ると、テラス乃木坂の地上3階の佇まいがどっしりと心強く感じられた。
緑地を通れば、徒歩3分で東京ミッドタウンに行ける。
ちなみに、新潮文庫の中で累計発行部数が最も多いのは漱石の「こころ」だそうだ。1952年に初版が発行され、2014年7月30日に累計700万部を突破したという。派手さこそないが脈々と読み継がれている名作に、ふとテラス乃木坂の姿が重なって見えた。
物件名称 | テラス乃木坂MAP | 所在地 | 東京都港区赤坂9丁目1-20 |
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賃料 | --- 円 | 交通 | 東京メトロ千代田線「乃木坂」駅徒歩6分 |
間取 | 5LDK,4LDK | 専有面積 | --- |
構造/階建て | 鉄筋コンクリート造/地上3階地下1階 | 築年月 | 2005/01 |
総戸数 | 5戸 | 管理人 | |
駐輪場・バイク置き場 | 設備 | 、 | |
特徴 | 備考 | 新耐震基準適合 | |
特記事項 | 次回更新日 |
テラス乃木坂の外観で目を引くのは、白い外壁とそこに映える植栽の緑だ。各所に配置された植栽は手入れが行き届き、日々の暮らしに安らぎを与えてくれる。
駐車場は各戸に1台ずつ割り当てられている。周辺には飯倉(約1.5km。首都高速都心環状線内回り)や芝公園(約2.8km。首都高速都心環状線内回り・外回り)といった高速道路の入り口があり、車があれば効率よく移動することができる。また、徒歩10分圏内に東京メトロ千代田線の乃木坂駅・赤坂駅、都営大江戸線の六本木駅という3つの駅があり、電車での外出にも便利な立地だ。大江戸線に乗れば9分で新宿に着ける。乃木坂駅・赤坂駅から千代田線に乗れば、1回乗り換えで渋谷へも行ける。
東京ミッドタウン(約240m/徒歩3分)。洋服や雑貨などのショップやレストランをはじめ、オフィスや美術館、緑地などの施設が集まった複合都市。買い物や食事に便利なのはもちろん、季節ごとのイベントも見どころ。港区立檜町公園と合わせて約150本の桜があり、春には花見が楽しめるほか、クリスマスシーズンには各所にイルミネーションが点灯される。
乃木希典大将とその妻を祀る乃木神社(約450m/徒歩6分)。乃木大将は明治時代の軍人で、明治天皇の死に殉じて妻とともに自刃し、乃木坂の名前の由来となった。
港区立檜町公園(約230m/徒歩3分)。ミッドタウン・ガーデンと反対側の入り口から入ると、静かな雰囲気の回遊式庭園となっている。
赤坂氷川神社(約500m/徒歩7分)の境内にある大銀杏。港区に現存する中では2番目に古い樹齢400年の巨木で、港区の天然記念物に指定されている。秋になれば鮮やかな黄金色に染まる姿が楽しめる。
国立新美術館(約800m/徒歩10分)。コレクションを持たない美術館で、14000平方メートルという広大な展示スペースを活かし、さまざまな展覧会の開催や美術の資料・情報の収集、公開などを行っている。
赤坂Bizタワー SHOPS&DINING(約850m/徒歩11分)。雑貨などを扱うショップのほか、ポルトガルやシンガポールなど、さまざまな国の料理を食べられるレストランが集まっている。東京メトロ千代田線の赤坂駅に直結しており、電車を降りたついでなどに気軽に利用できる。
記事作成 2017/9/20 高橋千尋